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青年恋愛Web漫画『黄昏色のBARが語りかけてくる』 夕美が、ちょっと早いけど乾杯にしない?と言うので、僕はビールと、買ってきた食べ物をいくらかテーブルの上に並べた。彼女はバーボンが好きだということだったので、とりあえず買っておいた。 「再会できたことに」そう言って僕たちはグラスを重ねた。 僕は夕美が持ってきたカセットテープをかけた。アレクサンダー・オニール、ビリー・オーシャン、マービン・ゲイ、そして、スティーリー・ダン。僕も決して嫌いではない。 「ねぇ」と夕美が言った。「いつも部屋はこんなにきれいにしてあるの?」 「実を言うと、女の子が部屋に来るのは久しぶりでね。あわてて 」 「あら、彼女なんていっぱいいそうだけど」 「たまにそういう風に誤解される」 陽が少しずつ落ちてきた。窓の外が黄昏色に変わっていく。遠くに見える街の灯りや車のライトが次第に鮮明に浮かび上がってくる。僕は夕美のグラスにバーボンを注いだ。 「不思議ね、私たちまだお互いのことあまり知らないのに、でも、私、とっても落ち着いてきちゃった」と夕美が言った。僕はそんなに落ち着いていたわけではないのだが。 僕は夕美のあとにシャワーを浴びた。シャワー室を出ると、彼女は、僕が渡した青のバスローブを羽織って窓の外を眺めていた。僕は何か冷たい飲み物を作ろうと思って冷蔵庫を開けた。 オレンジジュースに氷。そして細長いグラス。夕美が背後から僕に腕を回す。僕はオレンジジュースの入ったグラスを彼女に渡す。彼女はそれをひと口だけ飲んで、僕の目を見つめる。彼女はまるで幻でも見ているかのように僕を見る。彼女の瞳の中にはときおり妙な影がちらつく。もっとも、そのときの僕には、それがいったい何を意味するのかまったく見当がつかなかった。そしてそのことがそれほど気になっていたわけでもない。 僕は夕美にキスをした。彼女は僕の背中に手を回した。そしてまたあの不思議な微笑が彼女の口もとに浮かんだ。僕はもういちど彼女にキスをした。僕たちはそのままベッドの上に倒れこんだ。僕は少し強めに彼女を抱きしめた。そして彼女のバスローブに手をかけた。 「やめて」と夕美が言った。僕は手をゆるめた。窓の外にはもうくっきりと夜の風景が浮かび上がっている。僕はベッドを離れ、椅子に座った。 「だめね、私って。肝心なときになぜかおじ気づいてしまうのよ」と夕美が言った。 僕は何も言わず、ずっと窓の外を眺めていた。 「昔はこうじゃなかったんだけどさ」 ※このWeb漫画をご覧いただくためにはJavaScriptをオンにする必要があります。