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青年恋愛Web漫画『黄昏色のBARが語りかけてくる』 部屋に帰ると窓から西陽が少し入りかけていた。僕はすぐに冷房のスイッチを入れた。 「いい部屋じゃない」と夕美が言った。 「気に入った?」 「ええ、とってもいい感じ」 「でもよく見ると、そんなに金をかけていないのがわかるだろう」中古で買ったテレビ、半額で手に入れたビデオデッキ、シンプルなパイプベッド、天板と脚だけの質素な机、人からもらった留守番電話、本棚には一応本がぎっしり詰まっていて、入りきらないものは床に直接並べている。唯一の自慢はステレオだ。音楽は僕にとってとてもたいせつなものだからステレオだけには金を惜しまなかった。そして、僕は今もそのローンを払い続けている。 夕美はひと通り部屋を見回してから本棚を見た。 「へぇ、いろいろ読んでるのね」 「まぁな」 「チャンドラー好きなの?」 「ああ」 「私もチャンドラーはほとんど読んでる。ねぇ、チャンドラーのどういうところが好き?」 「やっぱり、マーロウの誠実なところかな」 「ふうん」夕美は少し何かを考えていた。 「ところで、君は本をよく読むのか?」 「ええ、でも最近は忙しいから難しい本はあまり読まないんだけどね」 やはりか・・・・・・。とりあえず、本を読む奴とならしゃべっていて退屈はしない。 「読むのは速い方?」と僕が訊いた。 「そうね、暇なときなら一日で一冊読んじゃうこともあるわね」 この間、初めて会ったときに僕が感じた通りだ。 ※このWeb漫画をご覧いただくためにはJavaScriptをオンにする必要があります。