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その年のクリスマスイヴの夜、僕たちは三人でジャズバーに行くことになった。ア、つまり・・・、みんな恋人がいない。
そのバーに入った瞬間、僕たちは突き刺さるような冷たい視線を体中に感じた。つまり、ほとんどのテーブルは恋人たちで埋め尽くされていたのである。それでも僕たちは、そのまま帰るのも格好悪いので、いかにも私たちはジャズが聴きたくてここへ来たのだという雰囲気を醸し出すよう、精一杯の努力を試みながら店内に侵入し、なんとか席にありついた。
そして僕たちはカウンターに謎めいたひとりの女を見つける。
女の年齢は二十代後半といったところか。しかも状況から察して、誰かを待っている風でもない。
僕たちはその女に実に勝手な連帯感を抱きながら、女に関して思いをめぐらせた。
「失恋でもしたんかなぁ」
「待ち合わせ?」
「ただ単にジャズを聴きに来たかっただけとか」
やがてジャズメンたちの演奏が始まる。
女はカウンター越しにその演奏に聴き入っていた。
いつの間にか僕たちも演奏に夢中になり、彼女のことを忘れかかっていった・・・。
ジャズメンたちのその夜のラストの演奏は名曲『クリスマスソング (The Christmas Song)』だった。
その演奏は、恋人のいない僕たちにも届き、少しの間僕たちをやさしい気分にさせてくれた。
そして、その演奏が終わりかけたとき、ふと僕はカウンターの方を振り返ってみた。
クリスマスイヴの夜のジャズバーを舞台にした、女をめぐる不思議な物語とお洒落な音楽。